昭和大学保健医療学部・保健医療学研究科との連携

 統括リハビリテーション技術部の特徴は、卒前から卒後教育、さらにその後のキャリア形成において保健医療学部・保健医療研究科と密接な関わりを継続的に持つことです。

 昭和大学では、理学療法学専攻・作業療法学専攻の実践教育の場である臨床実習を各附属病院を中心に実施しています。各専攻の教員でもある臨床理学療法学教員・臨床作業療法学教員が各附属病院に配置されており(ST除く)、それらの教員をコーディネーターとして、統括リハ技術部のスタッフが学生の実習指導に当たります。

 統括リハ技術部のスタッフの多くが昭和大学の卒業生です。大学を卒業後に昭和大学に就職する場合は、卒前の学部教育からシームレスに同一の組織での卒後の新人・若手教育に移行することができます。こうした卒後教育にも臨床理学療法学教員・臨床作業療法学教員が関わるところが特徴です。卒後の勉強会なども統括リハ技術部内に担当部門があり、学びの場をもうけています。

 卒後のキャリア形成の一つとして大学院への進学があり、在勤しながら保健医療学研究科に通学することができます。夜間および土曜日の開講なので無理なく修学が可能で、大学院での研究活動も統括リハ技術部および附属病院でサポート体制があるほか、臨床理学療法学教員・臨床作業療法学教員から指導を受けることもできます。

 附属病院に在勤、大学院を修了し、一定の研究業績を満たすと臨床理学療法学教員・臨床作業療法学教員になることもできます。それらの教員になると臨床実習全般の教育を行うほか、保健医療学部で授業を担当したり、附属病院や学部での研究活動を行うこともできます。

 統括リハビリテーション技術部と保健医療学部と保健医療研究科の関わりは、入学に始まる卒前の学部教育から、臨床理学療法学教員・臨床作業療法学教員になって授業をする教員側になるまで、循環する和のように連携をしています。

 外部リンク
【昭和大学保健医療学部】
https://www.showa-u.ac.jp/education/nr/

【昭和大学大学院保健医療学研究科】
https://www.showa-u.ac.jp/education/grad_nr/

昭和大学スポーツ運動科学研究所との連携

はじめに

 昭和大学スポーツ運動科学研究所(以下、スポ研)では、昭和大学にある医学部(整形外科・産婦人科・神経内科・呼吸器・循環器の各科)、歯学部(スポーツ歯科・矯正歯科・小児歯科)、薬学部(薬物治療学)、保健医療学部(看護学科・理学療法学科・作業療法学科)と9つの附属病院と緊密な連携を図って活動しています。リハビリテーション部門はスポーツ選手の身体機能を改善・向上させるために、スポ研の中でも非常に重要な役割を担います。リハビリテーション部門のスポ研内での主な活動として、1)アスリートメディカルチェックを他部門と協力して行い、スポーツ選手の身体機能状況をチェックすること、2)研究活動を行い、選手やスポーツ愛好家の方々にとって有益な情報を世に還元すること、3)スポーツ活動中の障害や外傷の治療を臨床で行うこと、が挙げられます。この主な3つの活動について紹介していきます。

1)メディカルチェック

 メディカルチェックでは整形外科・歯科・内科・栄養科と連携しながら、スポーツ選手を様々な側面からサポートすることを目的に行っています。リハビリテーション部門で計測する主な項目は、関節可動域や筋力などになります。図1では肩関節の可動域を測定しています。図2では膝関節の筋力を測定しています。関節可動域や筋力を計測し、障害が起きやすい身体機能なのか、パフォーマンスを向上させるためにはどのような運動療法を行ったら良いのかを、スポーツ選手に対し提案していきます。

メディカルチェック①
メディカルチェック②

2)研究活動

 研究活動では、スポ研の各部門(整形外科・内科・歯科・栄養科・リハ)が専門性を生かし、それぞれの専門学会等で発表するものや、それぞれの専門性を持ち寄りお互いに協力し合って行っているものがあります。いずれの場合も、スポーツ選手に還元できるような研究活動を行うように、心がけています。図3は野球での投球動作の3次元動作解析を行っている様子です。投球動作時に肩関節や肘関節にかかる力学的なストレスを計測しています。

 また、学術研究発表会を年2回(6月、12月)開催しています。各学部・附属病院・関連大学などから、多くの方々が参加し多くの意見交換を行っています。

投球動作解析
 外部リンク
【昭和大学スポーツ運動科学研究所】
https://www.showa-u.ac.jp/research/sport/

昭和大学発達障害医療研究所との連携

 昭和大学発達障害医療研究所(以下、研究所)は、2013年に昭和大学附属烏山病院に開設した成人発達障害専門外来を持つ研究所です。成人の自閉症スペクトラムと注意欠如多動性障害を主な対象として、質問紙調査から最新の脳科学研究に至るまで、発達障害に関する幅広い臨床研究を実施しています。

 研究所と作業療法士との関わりが深い部署は精神科デイケア(以下、デイケア)です。精神科デイケアは、薬による治療ではありません。社会で生活しやすくするためのスキルや考え方を、同じ悩みをもつ仲間たちと共に学び身につけていく場所で心理社会的な治療とも呼ばれています。医師や看護師、精神保健福祉士、心理師らと共に作業療法士も関わっています。

 烏山病院の精神科デイケアでは、研究所が中心となり開発された発達障害に特化したプログラムを実施しています。このプログラムは、青年期・成人の自閉症スペクトラムに対して全国に先駆けて開発されたものです。プログラムの有用性が検証され、2018年度より診療報酬にも反映されるようになりました(保険の範囲で行うことができる有効な治療として認められたということです)。作業療法士は、プログラムの開発やマニュアル作成の際に研究チームの一員として関わり、現在もプログラムを実施しながら、さらなる知見を重ねています。最近では、発達障害を有する大学生に対するプログラムやピアサポート(障害を見持つ当事者同士が支え合う仕組み)を促進するプログラムの開発にも関わっています。

 研究所と烏山病院は同じ敷地内にあり、また兼務するスタッフもいるため密な交流がもたれ、臨床現場の声がダイレクトに研究に結びつく環境、雰囲気があります。デイケアでの実践が研究所の研究活動を支え、デイケアでは最新の研究成果を基に患者さんに関わり、サービスを提供することができています。作業療法士は、研究での成果を臨床へ還元し、臨床での気づきや疑問を新たな研究へと発展させていく良好な循環をつなぐ、役割を担っています。また、成人期発達障害に対するプログラムは全国的にも先駆的な取り組みであり、実際の様子を聞きたい、知りたいと多くの講演の依頼や見学者が訪れます。実際にプログラムを実施している作業療法士が対応し現場の生の声を届け普及、啓発の役割も担っています。

 外部リンク
【昭和大学発達障害医療研究所】
https://www.showa-u.ac.jp/research/midd/
 外部リンク
【大人の自閉症スペクトラムのためのコミュニケーション・トレーニング・ワークブック】
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo05/bn901.html/